▼物理学者といえばいかめしいが、ノーベル賞を受けた朝永振一郎は身近な自然を楽しむ人だった。庭にえさ台を作って野鳥を寄せ、ふんの中から色々な種子を拾い集めたと随筆に書いている。
雖然一說起物理學者便有種嚴肅感,但獲得過諾貝爾獎的朝永振一郎卻是一個喜歡親近自然的人。他在隨筆中提到,在庭院裏搭了個臺子來引鳥,並從鳥糞中收集各類種子。
▼それを春先に鉢にまく。すると入梅のころから様々な芽が出てくる。双葉のうちは何の芽だか分からないが、そのうち見当がついてくる。ヒマラヤにしかない植物が生えてきたら面白いのに、と周囲から言われたそうだ。
到了春天,他將收集的種子種在盆中。於是,到了入梅時節,便會有形形色色的幼苗破土而出。剛長出嫩葉的時候,尚不能準確分辨植物的種類,不過,過些日子便知曉了。周圍的人曾經對他說道,如果長出只有喜馬拉雅才有的植物就有趣了。
▼意外な花が咲けば面白いが、あまり妙なのは困りものだ。茨城県下妻市で、ヒナゲシなどのつもりでまいた種から、法律で栽培が禁じられているケシが咲いた。恒例のフラワーフェスティバルの花畑のうち、1ヘクタールが「悪の花園」だと警察が気づき、先週あわてて刈る騒ぎになった。
開出讓人意外的花雖然很有意思,但如果開出過於奇怪的花就會招致麻煩了。在茨城縣下妻市,原本當虞美人草播種的種子,卻開出了法律禁止栽培的罌粟花。在一年一度的鮮花節上,員警卻注意到了這一公頃的「罪惡花園」,上周急急忙忙地剷除了這些罪惡之花,引起了一陣騷亂。
▼アツミゲシという花で、麻薬の成分を含む。数十万本もあって1日では焼却しきれず、寝ずの番をしたそうだ。北アフリカの原産という。鳥が運んだはずもないが、紛れ込んだ経緯ははっきりしない。百花競う季節のミステリーである。
這種叫做渥美罌粟的花含有大麻成分。據說,多達數十萬株的罌粟難以在1日之內完全燒淨,為此不得不連夜處理。這種花原產自北美,因此不該是鳥兒帶來,然而混入的原委卻依然不明,成為百花爭豔季節裏的一個迷。
▼咎あるゆえか、ケシはどこかはかなげだ。マリー•ローランサンの絵を思わせる、と詩人の三好達治は言った。しかし、秘めた毒針は容赦がない。実からとれるアヘンなどは、陶酔感と引きかえに人を廃人にする。
也許是因為有罪過,罌粟花給人種虛幻感。詩人三好達治曾經說過,罌粟讓人聯想到瑪利羅朗森的畫。然而,其中蘊含的毒素是無法饒恕的。從果實中提取的鴉片等物質,在使人迷幻的同時也將人變為廢人。
▼朝永博士が鳥のふんから集めた種子は、育ってみると、近所にありふれた植物ばかりだったという。法律上ありふれた花ではないはずのアツミゲシが、なぜ盛大に咲いたのか。狐(きつね)につままれたような不思議を残したままでは、来年が気にかかる。
朝永博士從鳥的糞便中收集的種子,經培育後,發現都是附近常見的植物。依照法律規定不應氾濫的罌粟,為何能夠如此大規模盛開?帶着滿腹狐疑,不由得讓人擔心明年的情況。
解說:
•罌粟相關詩歌: 如唐郭震詩:「聞花空道勝於草,結實何曾濟得民?」宋楊萬里詠罌粟詩:「東君羽衛無供給,控借春風十日糧。」 •罌粟的傳說: 在古埃及,罌粟被人稱之為「神花」。古希臘人為了表示對罌粟的讚美,讓執掌農業的司谷女神手拿一枝罌粟花。古希臘神話中也流傳着罌粟的故事,有一個統管死亡的魔鬼之神叫做許普諾斯,其兒子瑪非斯手裏拿着罌粟果,守護着酣睡的父親,以免他被驚醒。
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